印紙税の基礎知識(1) ~張り忘れ等に注意~
2016年11月13日 カテゴリ: 税金
飲食業、宿泊業や建設業のように、領収書や契約書など収入印紙(印紙)を貼らなければならない文書が比較的多い業種では、法人税や消費税の税務調査と併せて、印紙税の調査が行われることがよくあります。調査では、印紙の貼付の誤りや貼り忘れなどが指摘されます。
印紙を貼らなければならない文書
印紙を貼らなければならない文書を課税文書といい、「印紙税額表」に掲げられた20種類の課税文書とその記載金額をもとに定められた税額分の印紙を貼ります。
タイトルだけで判断しない
印紙を貼る必要がある文書かどうかは、文書の内容によって判断され、タイトル(名称・呼称等)とは関係ありません。
領収書を発行せず、請求書に「代済」「了」などと表示して済ませている場合があります。
この場合、タイトルが「請求書」であっても、文書に記載された金額を受領したという意味であることから、金銭の受取書に該当するため、印紙の貼付が必要になります。
そのほか、文書のタイトルが「覚書」「念書」となっていても、記載内容が請負や継続取引(特約店や代理店など)に関する契約内容であれば、課税文書と判断されます。
印紙への消印を忘れないこと
印紙税は、印紙を貼り、消印(割印)をすることで、納付したことになります。
消印は、印紙の再使用を防ぐためのものですから、必ずしも契約者や文書作成者自身が消印をする必要はなく、代理人、従業員等が消印をしても問題はありません。印章も、契約者等に押した印ではなくても、消印者の印章(署名でも可)で差し支えありません。
貼り忘れ等には最高で3倍のペナルティー
例えば、課税文書であることを知らなかったり、単なる貼り忘れで印紙を貼っていなかった、あるいは印紙を貼ったものの金額不足や消印漏れがあったという場合があります。税法では、故意、過失に関係なく、印紙が正しく貼られていなければ、納めなかった印紙税額の3倍の過怠税(本来の印紙税+その2倍相当の金額。最低1,000円)が追徴されます。
ただし、貼り忘れ等に気づいて、自己申告(不納付の申し出)をした場合には、過怠税は1.1倍(本来の印紙税+その10%相当の金額)に軽減されます。
消印漏れについては、消印されていない印紙の額面と同額の過怠税が追徴されます。
過怠税は、その全額が法人税の損金や所得税の必要経費にはなりません。